理事長メッセージ

一般社団法人秩父青年会議所

第62代理事長 南 健太

【はじめに】

2020年から続いた新型コロナウイルス感染症の影響は、世界中で多大な影響を及ぼし、感染拡大防止のために多くの制約がかけられ、私たちの生活様式や経済活動に至るまで、様々な変化を余儀なくされてきました。しかし、長い間にわたる苦境を経て昨年の5月、5類感染症への移行とともに、私たちの生活や社会活動は、少しずつ日常を取り戻し始めています。

1949年、日本の青年会議所は、第二次世界大戦の傷跡が深く残る戦後の混沌とした時代のなか、「新日本の再建は我々青年の責務である」という志を同じにする青年たちによって立ち上げられました。その志に共鳴した先輩方により、1963年に秩父青年会議所が設立され、今日までの長い歴史の中で、地域の活性化、次世代人材育成、社会的な課題への取り組みなど、多岐にわたる運動を展開し、地域の発展に大きく貢献してきました。

新型コロナウイルス感染症からの復興の光が差し始めている今、私たちは再び立ち上がり、修練、奉仕、友情の三信条のもと一致団結し、「明るい豊かな社会」を目指して、1年間運動を展開してまいります。

 

【郷土愛あふれるまちづくり】

グローバル化や情報化の進展により、人々は世界中の情報やコミュニケーションへ瞬時にアクセスできるようになりました。一方で、人々の生活や価値観は多様化し、自分たちの郷土に対する帰属意識や関心が薄れていると感じられます。

私たちが住み暮らすちちぶ地域は、豊かな自然に囲まれ、歴史や伝統文化が融合した素晴らしい地域です。四季折々に美しい風景を見せてくれる山々、伝統的な祭りなどの文化遺産、温泉やアクティビティをはじめ、多彩な資源があふれています。近年では、都心から電車で約1時間半というアクセスにも優れ、関東を代表する観光地として多くの人々に愛されています。私たちは、このような時代に於いて、ちちぶの魅力を地域住民と共有し、郷土への誇りや愛情を高めることで「明るい豊かな社会」実現のため、まちづくり運動を邁進してまいります。

 

【次世代を担う子どもたちのために】

現代は「不確実性の時代」と呼ばれており、子どもたちの未来には多くの不確かな要素が存在しています。急速な技術の進歩や経済の変動、社会の変化など、予測不可能な出来事が日常的に現れ、子どもたちを取り巻く環境も目まぐるしく変化しています。しかし、このような時代に於いても、子どもたちが健やかに育ち、夢を持つことは地域社会の発展にとって非常に重要なことです。なぜなら夢は、子どもたちの想像力や創造性を高めるだけでなく、達成するための努力や逆境に立ち向かう勇気を与え、将来の不確かさを前にしても、子どもたちの人生に意義と目的をもたらしてくれるのです。

スマートフォンやタブレットなどのIT機器が普及したことにより、子どもたちは多くの情報を収集し、間接的に学んだり、疑似体験をしたりすることが容易となりました。一方で、自らが実際に関わり、五感を通して感じ取る「リアルな体験」の機会は減少しているように思います。五感を通して物事を実際に体験することは、子どもたちの感動や驚き、喜びを育むと同時に、その後の人生に於いて生きた経験や、知識、成長の糧となり、将来の夢に向かう指針となります。子どもたちには様々な体験型事業を通して自信を持ち、自己の個性や新たな可能性を見いだし、未来に大きな夢や希望を抱ける事業を展開してまいります。

 

【効果的な広報活動】

どんなに魅力的な事業を計画し、実行しても、それが多くの方々に伝わらなければ、運動の効果を最大限に得ることが難しくなります。私たちが目指す「明るい豊かな社会」実現には、地域住民の皆様や、行政、関係各所のご理解とご協力が必要不可欠です。私たちの運動の目的や魅力を十分にお伝えし、より大きな効果を生み出す広報活動に努めるとともに、秩父青年会議所のブランド力を高める運動に取り組んでまいります。

時代の変化とともに、情報を伝える手法も多様化してきました。私たちはその変化に対応し、従来の伝統的な広報誌「れいめい」に加え、ホームページやソーシャルメディアを活用し、より多くの方々に、私たちの運動に関心をいただける広報活動を展開してきました。

今後も変化する社会に柔軟に対応し、時代に即した手法を取り入れ、効果的な広報活動を通じてより多くの方々に私たちの運動に共感していただけるように努めてまいります。そして、地域住民の皆様とのコミュニケーションを大切にし、行政や関係各所との連携を深め、地域に必要とされる組織を目指して広報活動を展開してまいります。

 

【会員拡大について】

近年、会員数の減少と在籍年数の短期化は全国の青年会議所が直面する大きな課題であり、私たち秩父青年会議所も例外ではありません。このまま会員数の減少が進行すれば、組織の存続にも関わる可能性があります。

青年会議所の魅力は多種多様な人財が所属していることです。異なるバックグラウンドや経験を持つ会員との交流は、自分の限られた視野や創造性を広げ、新しい知識を得ることで自身の成長や学びを促進するだけでなく、青年会議所全体の質を向上させ、地域の発展に大きく貢献できるのです。そのため、青年会議所の魅力を最大限に引き出すためには、同じ志を持った多くの「なかま」が必要です。

会員拡大運動は、JC運動を通して得られる経験や学びを、より多くの人と共有することであり、運動を推進するためには、会員一人ひとりがJC運動の価値を十分に理解することが重要です。私たちは、ちちぶ地域の未来を共に創り上げる同志を増やすため、JC運動の目的や魅力をより深く理解するとともに積極的に発信し、会員全員が団結して拡大運動に取り組んでまいります。

 

【地域を先導するリーダーシップの醸成】

 

青年会議所は、青年が社会により良い変化をもたらすために

リーダーシップの開発と成長の機会を提供する。

 

秩父青年会議所は、これまで60年以上にわたり地域を先導するリーダーを輩出してまいりました。その歴史と功績は、様々な社会課題に立ち向かい、ちちぶ地域の発展に大きく貢献してきました。現代に於いても多くの社会課題が山積みであるなか、この時代に立ち向かう次世代のリーダーを育成することは、秩父青年会議所の重要な使命のひとつです。

青年会議所は、自ら積極的に活動することで、様々な経験を通して自分自身の成長の機会を与えてくれる場です。入会は単なるスタートであり、その先には無限の可能性が広がっています。その可能性を実現するかどうかは、自分の意志と行動次第です。

私たちJAYCEEはちちぶ地域をリードしていく立場にあることを自覚し、地域を先導するリーダーシップの醸成に邁進してまいります。

 

【結びに】

私たちは、誰もが予想をしなかった新型コロナウイルス感染症という試練に立ち向かい、計画していた事業の変更や中止を余儀なくされながらも、立ち止まること無く前進し続けてきました。一人では乗り越えられない困難な状況でも、私たちの心を一つにすれば、立ち向かえないものはありません。秩父青年会議所にはどんな困難な状況でも乗り越えられる団結力があると確信しています。

かつて、戦後復興を胸に抱いて立ち上がった先人たちのように、新型コロナウイルス感染症終息後の、より良いちちぶ地域を築き上げるために、今こそ私たちJAYCEEが一致団結し立ち上がりましょう。

最後になりましたが、先輩諸兄姉、関係諸団体の皆様へ、日頃からの多大なるご支援に感謝を申し上げるとともに、本年も変わらぬご指導ご鞭撻をお願い申し上げ、2024年度理事長基本方針とさせていただきます。