物心ついた時からデジタル機器に囲まれていた今の小中学生は、スマートフォンやタブレットを使いこなし、世界中の情報をいつでもどこでも簡単に手に入れることができます。しかし、その便利さの裏側で失われつつあるものがあります。それは、画面越しでは得られない、自分の体で感じる「リアルな体験」の場です。登山を例にとれば、登山道の様子や山頂からの景色はネット検索やSNSを通じて簡単に知ることができます。しかし、実際に自分の足で登り、汗を流し、仲間と励まし合いながら進む登山道の記憶や、冷たい風や澄んだ空気を感じながら眺める景色は、実際に体験しなければ決して得られません。こうした 「リアルな体験」は貴重な学びの場であり、デジタル社会に生きる今の子どもたちにこそ経験し、その価値を学んでほしいと考えます。
また、昨今のさまざまなリスクを回避しようとする安全意識の高まりに加え、ちちぶ地域においては、少子化や地域行事の縮小などにより、子どもたちの交流の場が減少し、その結果、子どもたちが世代を超えて関わる機会も少なくなっています。学校生活や習い事などにおける関わり合いも大切ですが、世代を超えた関わり合いは、このような時代において一層重要な意味を持ちます。世代を超えた交流は、子どもたちに新たな刺激や価値観を与え、学校とは異なる学びの場となります。さらに、そうした交流の中で触れる日常とは異なる体験は、子どもたちが自ら考え、工夫して行動する力を養います。そして、同じ体験を仲間と共有し、互いに助け合いながら活動することで、協調性や社会性を育むのです。
このような背景を踏まえ、本年度の次世代人材育成委員会は、子どもたちが明るい豊かな未来を歩めるよう、学校では学ぶことができない五感で育む体験型の人材育成に取り組んでまいります。また、子どもたちが多様な個性を持つ仲間とコミュニケーションを取り、自らの成長を感じられる機会を創出するとともに、事業を通じて「挑戦」の大切さを学べる場を提供してまいります。自ら考え、行動し、全力で取り組む「挑戦」はその結果によらず、それ自体がかけがえのない経験です。この経験は、自分の力で未来を切り拓く原動力となり、子どもたちの将来の可能性を大きく広げるものと信じています。
結びに、検索すれば答えが見つかる時代であっても、子どもたちの未来には無限の可能性があり、その答えは検索しても見つかりません。私たち大人にできることは、その可能性を信じ、広げてあげることです。次世代人材育成委員会はその思いを胸に、子どもたちが自らの力で明るい未来を切り拓いていける存在となるよう、成長の糧となる事業を構築し、多くの学びと挑戦の機会を提供してまいります。